【ブラックな話題】リプレイ

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公立高校に通っている利彦はある特殊能力を持っていた。

現在の記憶をもったまま過去にタイムスリップできる「リプレイ能力」だ。
戻りたい過去を念じながら「リプレイ」と言えばタイムスリップできる。

利彦が小学生のころに交通事故にあってから、その特殊能力が備わり、
今では自由自在に過去に戻って 人生を何度でもやり直せるようになっていた。

ゲームの世界のように、失敗したって すぐにロードして、リプレイすることができる。
利彦の生活は毎日がやりたい放題だった。

小学生のときは、夏休みを8月の終わりまで過ごしてリプレイして何度も夏休みを楽しんだ。
中学生のときも高校受験の時に、一度 テストを受けてリプレイ。
問題を覚えているから2回目となれば簡単。自分の行きたい高校にだって合格できた。

高校生になってからは、好きな女の子に告白をして失敗。でも、リプレイがある。
利彦に怖いものはなかった。
リプレイをすれば、どんなことでも なかったことにできるし、やりたいことも繰り返せる。
交通事故で死にそうになってもリプレイをすれば、人生が返ってくる。
リプレイ

ただ、最近はリプレイをしても すぐ数日前にしかタイムスリップできない。
昔のように何ヶ月も戻って楽しむことができなくなっていた。

リプレイ能力を使いすぎたのか、戻れる期間が狭まっている。
もっとも、利彦にとって 戻れる期間はそんなに長くなくても良いのだ。

(ここから先は続きで・・・。)

ある日、利彦は友達4人を誘ってロッククライミングに出かけた。

その友達は、利彦が趣味としているロッククライミングの仲間で、
半年に一回は一緒に山を登っている。

今日もいつも登っている山だ。
難易度の高い山にも挑戦してみたいが、危険だからといって友達が乗ってくれない。

少しでも スリルと終わった後の達成感を得たいがために、命綱なしで山を登ることにした。
友達はもちろん止めに入るが、リプレイ能力のある利彦に怖いものはなかった。
落ちてもすぐにリプレイをすれば、怪我ひとつしないし死ぬことはない。

頂上まで行けば友達に度胸のある男だと思ってくれるはず。
結局、友達を押し切ってロッククライミングを始めた。

調子よく、登っていく足も手も軽やかだった。
30分ほど登ったころだろうか。頂上はまだまだでも地上からは結構高い。

「あっ!!」

利彦は急に足を滑らせた。
落ちると思った瞬間にすぐ「リプレイ」と叫んだ。


よし、山を登る前に戻ったはず・・・。
目を開けてみると そこは足を滑らせる直前だった。
あれ?数秒前にしか戻れてない。

「あっ!!」

再び足を滑らせる利彦。
落ちると思った瞬間にすぐ「リプレイ」と叫んだ。

山を登る前に戻るよう念じたが、
目を開けてみると まさに足を滑らせたときだった。

「あっ!!」

再び落ちていく利彦・・・。


リプレイ能力が衰えていた。戻れる期間は確実に短くなっている。

山から聞こえる「リプレイ!」の声は次第に間隔が短くなっていった。

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